□ 待つ時間
年末年始は「待つ」ことが多くなりますね。 忘年会・新年会では席に座るまでに待たされ、道路は渋滞し、有名な神社で初詣をすれば寒い中で待つのは覚悟の上です。
ところで「待つ」感覚は不思議だと思いませんか。
電車が遅れると5分でも愚痴が出るのに、美味しいと評判のお店では喜んで行列に並びます。
人間関係や個人的な感情も「待つ」時間を左右します。
Aさんに待たされると腹が立つのに、Bさんなら気にならない。
気分が良い日は長く待てるのに、気分が乗らない日は1分の待ち時間さえ我慢できない。 人それぞれ「待てる時間」と「待てない時間」があり、その境界線は本人にしか分かりません。
しかし、誰にでも共通しているのは「待たされている」と思えばイライラし、「進んで待っている」ときはウキウキと心が弾んで待ち時間も気にならない、ということです。
鹿児島県の屋久島では樹齢がおよそ1,000年を超える杉を屋久杉と呼ぶそうです。 屋久杉は成長が遅いことで知られています。
屋久島は花崗岩の島なので、岩が邪魔をして地下に根を張れず、十分な養分を取れないので、成長速度が遅いそうです。
しかし成長が遅いため年輪が詰まっており、独特の木目や模様を生み出します。
材質が緻密で長命なのも、成長が遅いことの恩恵です。
過酷な環境下でゆっくりと成長するからこそ、個性が際立ち、丈夫で長く生き残れる。
屋久島の杉が待つことをせずに成長を急いだら、屋久杉はこの世に存在しなかったかもしれません。
商売でも売り上げが伸びない、顧客が増えない、反応が悪いといった「待たされている感じ」はどうも居心地が良くありません。
例え同じ状況でも、力の限りやったからあとは、自分を信じて良い結果を思い描いて過ごす。
ワクワクしながらベストを尽くして天命を待つことができたら、何よりだと思いませんか。
私たちはこれからもいろいろな局面で「待つ」ことに遭遇します。
同じ「待つ」なら自分が磨かれるような待ち時間にしたいものですね。
今年もお世話になりました。
良いお年をお迎えください。