茨木の税理士

□ 商売・経営のヒント:ニュ-スレタ-の一部を紹介します

 「1ダース」 といえば普通は12個(本)ですが、パン屋の1ダースは13個。
 これを 「ベイカーズダズン(baker's dozen)」 と言います。
 かつてパン屋には、うっかり数が不足した場合のクレームを防ぐ策として、あらかじめパンを1個多く作っておく習慣がありました。
 ベイカーズダズンはそこから来た言葉で、ビジネスの世界では、経営倫理や職業倫理を説く大切な言葉として使われています。
 どういう意味かといいますと、パン屋が12個分の材料で13個のパンを焼いて商人に卸し、1個水増しした分のパンで商人を儲けさせると、そのパン屋に注文が増え、結果としてパン屋も儲かる。
  「しかし商売人は、そんな誘惑に乗ってはいけない――」。高槻と島本の税理士
 ベイカーズダズンにはそんな自戒の意味が込められているようです。
 なぜなら、12個の材料で13個のパンを作って売るということは、今まで12個の材料で12個のパンを買っていた消費者を騙しているのと同じであり、また材料の質を落とした粗悪品のパンを作り、売上を伸ばすということは、「世の中で必要とされて、更に良い物を売る」 という商売に対する誇りを、自ら捨て去る行為と同じだからです。
 ブームになった 「品格」 という言葉で言い替えれば、ベイカーズダズンとは、企業の、商売の、社長の品格を問う姿勢とも言えます。
 過去、自分の利益を最優先した企業の崩壊劇を私たちはいくつも目にしました。
 そして、崩壊した企業に共通していたのは “上限” はあっても “下限” はなかったことです。 彼らの目的は、上限に達することであり、そのためには手段を選びませんでした。
 まずは、上限達成の為の安易な値下げ。
 そして、価格競争による原価割れまでの値下げにより、利益の枯渇が起こり、利益確保の為の商品の質の切り下げ (どんな職種・職業であれ、一定の利益を確保するためには、販売商品や提供サ-ビスなどの品質を下げなければ、利益はでません)。
 それにより、更に商品が売れなくなり (負のスパイラル状態から抜け出せなくなる) 、ついに背に腹は代えられない状態となり、昨今特に問題になっている 「・・・・偽装」 などを行ってしまうのです。
 つまり、 「それだけは、やってはならぬ」 という下限の線引きをしなかったために、企業モラルが崩壊し、商売に対する誇りも、経営者自身の誇りも見失った果てに、砂上の楼閣となったのです。
 どんな立派な楼閣 (一時的な目標売上や利益の達成) でも、その地盤がきちんとした商売のやり方や経営戦略によって築かれたものでなければ、ちょっとしたきっかけで簡単に崩壊してしまいます。
 それもあっけなくです。
 今のような不況が続くと、企業モラルや商売の品格などは二の次、まずは売上だ、利益だと考える経営者がいてもおかしくはありません。
 当然会社は営利企業でありますから、利益をださなければなりません。高槻と島本の税理士
 ましてや自分の家族だけではなく、従業員の雇用を守り、ひいてはその家族も養わなければなりません。
 責任感の強い経営者ほど、そのように考えてしまいます。
 しかし、数多くの崩壊劇が物語っています。
 12個分の材料で13個のパンを焼くことは 「割に合わないこと」 だと。 会社を潰さないためにした行為が、結局倒産の引き金になってしまうという皮肉が起こってしまいます。
 そこで、ベイカーズダズンの甘い誘惑に負けないよう、今すぐ商売の下限を設定しましょう。
 コンプライアンス (法令遵守) は当然のことですが、安易な値下げによる商品やサ-ビスの質の低下 (商品やサ-ビスの値段と品質の高さは比例します。 つまり安かろう悪かろう状態) を避け、高品質で付加価値の高い商品やサ-ビスを提供し、特色化していきましょう。
 そして、経営者はもちろんですが、役員などの幹部や従業員一人一人まで、商売の下限を徹底させましょう。
 「それだけは、やってはならぬ」 という下限の線引きをした上で、強固な経営体質を構築し、目標に向かってどんどん進んで行く。
 それが本来の商売の基本であり、経営者としてのあり方でもあろうと思います。

          
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