ある日、一人の社長が知性的な女性秘書を従えて、プレゼンテーション会場に乗り込んだそうです。
名の知れた経営者が20人ほど参加する身内的な集まりの中で、彼は新しい事業のプレゼンをすることになっていました。
時間はわずか3分間。
誰かのピンチヒッターだったようですが、彼にはビッグチャンスです。
とはいえ百戦錬磨の猛者達を相手に、資金も人脈も知名度も実績もない人がプレゼンテーションをしても、普通なら相手にもされないでしょう。
ところがその場の全員が彼のプレゼンテーションに真剣に耳を傾け拍手喝采し、彼の事業に支援を申し出た人までいたそうです。
プレゼンテーションの3分間に奇跡が起こった・・・のであればドラマティックですが、実はすべて彼のシナリオ通りだったようです。
プレゼンテーションをすることが決まったとき、彼はまず 「自分」 をプレゼンテーションする方法を考えたそうです。
どこの馬の骨かもわからない男の話を聞いてもらうには、プレゼンテーションの前に第三者に自分を底上げしてもらうしかない。
社会では人を騙す行為は決して許されないが、自分をアピールするプレゼンの場だからこそ演出として認められる場合もある。
そこで彼は知性的な女友達に 「1日だけ僕の秘書になってほしい」 と依頼したのです。
プレゼンテーション当日、女性秘書は猛者達と名刺交換する彼のとなりで、にこやかに微笑みながら絶妙なタイミングで彼を立て、彼の経歴や将来のビジョンを的確にかつ手短に伝え、その間に飲み物を用意して猛者達に勧めたそうです。
「私は社長の素晴らしいビジョンに共感を覚えています」。
気立てが良くて気が利いて賢い。
こんな秘書からそれほどまでに敬意を示されるこの男は、ただ者ではないかもしれない。
彼はこうして名刺交換の時点から 「自分をプレゼンテーション」 し、成功するための土壌づくりをしたのです。
彼は言いました。
「経営者には優れたプレゼン力が必要だ」。
資金や人脈や知名度がなくてもプレゼン力があると自分や会社、商品のファンを増やすことができるのです。
多くの人から応援してもらう仕組みづくりや戦術を考えることは、経営者にとって大切な仕事のひとつではないでしょうか。 |
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