「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」 で知られた米沢藩主の名君、上杉鷹山(ようざん)は、人を動かす方法を 「してみせて、言ってきかせて、させてみよ」
と説きました。
これをもとにしたと言われるのが連合艦隊司令長官山本五十六元帥の名言、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」 です。
教育者としても知られ、人望に厚く部下にやる気を出させることが非常に上手かった山本元帥は、模範を示し、指導して、実際にやらせる上杉鷹山流のやり方に
「褒める」 を加え、理論ばかりでは人は動かないことを暗にほのめかしたのでしょう。
人の心が動くのは感情が刺激されたとき。
まずは心が動かなければ人は動きません。
「褒めて伸ばす」 は人育ての定説です。
最近では、人の褒め方を学ぶ 「褒める研修」 を導入する企業もあるようです。
しかし、人をほめることは意外と難しく、「どんな言葉をかけたらいいのかわからない」 という声をよく聞きますが、褒め方で最も大事なのは 「褒め言葉」
より 「何を褒めるか」 でしょう。
かつて、ニューヨークの小学校で興味深い実験が行われました。
小学4年生に簡単なパズル課題を与え、課題終了後に生徒をほめました。
そのとき、「頭がいいんだね」 などと結果を褒められた生徒は、続く実験で自尊心を守るためにチャレンジを避け、最終的に成績がダウンしてしまいました。
片や 「よく頑張ったね」 などと努力を褒められた生徒は、続く実験で実力以上の課題にチャレンジして成績を伸ばしていきました。
つまり、「結果」 を褒めると失敗を恐れるようになり、「努力」 を褒めると困難に直面しても挫けなくなる。
あくまでも可能性の話ですが、ほめるポイントによって及ぼす影響が変わってくる点は見逃せません。
ビル・ゲイツ氏は、部下が大失敗しても全力を尽くしたならば怒らなかったそうです。
結果より努力を認めて褒める。
褒めて心が動いたら、社員や部下たちは自らの意思で次のステップへと歩み始めるのでしょう。 |
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