昨年の7月にタイを襲った大洪水は多くの企業に甚大な被害をもたらしました。
今でも先の目途がつかない会社があります。
そんな中、洪水の被害を最小限に抑えて、すぐに操業を再開できた会社があるという話を聞きました。
その会社は精密機械の工場だったそうですが、当時、社長は次のような行動をとったそうです。
社長がタイの工場からの電話で洪水の第一報を受けたのは、洪水の勢いが未知数で、これからどうなるか何もわからないごく初期段階のときだったそうです。
けれど社長は直感します。
工場が浸水するのは時間の問題だろう。
そうなったら機械は全滅 してしばらく工場が停まってしまう。
社長は自分の直感を信じて電話口で次の2つの指示を出しました。
すぐに仮の場所を押さえて工場を移転させること。
機械を発注すること。
そしてその足で、自分はタイに飛んだそうです。
タイに着くとすぐに保険会社と連絡を取り、工場の様子を見に来てもらう段取りをしました。
工場の周辺は水浸しで、船がなければ近づける状態ではありませんでした。
すると、社長は自腹で舟をチャーターして、保険会社の損害査定担当者を舟に乗せ、工場に向かいました。
身銭を切ってまで舟を出したのは、“最悪の状態” をその保険会社の損害査定担当者に見てもらうため。
水が引いてからでは、どのくらい水に浸かっていたかなどの十分な損害査定をしてもらえない可能性があります。
そのリスクに比べれば、舟代を惜しんではいけないという判断でした。
周囲の工場が操業停止で対策に追われる頃、すでに新しい機械を発注しておいた社長の工場は、別の場所ですぐに仕事を再開できたそうです。
社長は、「今回の被害を最小限に抑えることが出来たのは、私の直感が運良く当たったこともありますが、小回りがきく会社の規模であったこと。
そして、そのときにたまたま資金に多少の余裕があったからですよ」 と謙遜しながら語ったそうです。
会社経営においても、より深刻な不況という洪水が押し寄せてくる前に、行動を起こさなくてはいけません。
“たまたま” ではなく “確実に” 回避するためにも、小回りがきかないのであればなおさら早いうちに、そして少しでも資金に余力があるときに。
そんなことを改めて考えさせられた出来事ではなかったでしょうか。 |
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