昨年は二人の 「天才」 がこの世を去りました。
一人は米アップルの創設者スティーブ・ジョブズ。
もう一人は落語家の立川談志です。
お二人の天才的なエピソードは改めて記すこともないでしょう。
独裁的でもカリスマ性があり、成し遂げた偉業は数知れず。
さらにもう一つ付け加えるなら、話術に長けていたことも二人の共通点です。
ジョブズ氏は 「スピーチの天才」 と言われていました。
彼はその巧みな話術によって多くの聴衆を魅了しましたが、中でも 「伝説のスピーチ」 として今でも語り継がれているのは、2005年のスタンフォード大学卒業式での祝辞です。
「ここで確かなのは私がアップルをクビになっていなかったら、こうした事は何も起こらなかったということです。 それは大変苦い薬でしたが、患者には必要だったのでしょう。 人生には頭をレンガで殴られる時があります。 しかし信念を失わないこと。 これから仕事が人生の大きな割合を占めるのだから、本当に満足を得たいのであれば進む道はただひとつ、それは自分が素晴らしいと信じる仕事をやること。 さらに素晴らしい仕事をしたければ、好きなことを仕事にすること。 もし見つからないなら探し続けること。 心の問題と同じで、見つかったときに分かるものですし、愛する仕事というのは、素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとに自分を高めてくれるものです。 だから探し続けること。 落ち着いてはいけない。 そして毎日を人生最後の日と思い生きる。 すると必ず優れた人物になれる。 私は33年間、毎朝鏡を見て自問している。 今日が人生最後の日だとしたら、私は今日行う予定のことをしたいと思うだろうか。 その答えにいいえが続き過ぎる度に私は何かを変える必要を悟った。 ほとんど全てのこと、他人からの期待やプライド、恥や失敗に対する恐れ、これらは死を前にしては消えていまい、真に重要なことだけが残る。 君たちが持つ時間は限られている。 人の人生に自分の時間を費やすことはありません。 誰かが考えた結果に従って生きる必要もないのです。 自分の内なる声が雑音に打ち消されないことです。 そして、最も重要なことは自分自身の心と直感に素直に従い、勇気を持って行動することです。 心や直感というのは、君たちが本当に望んでいる姿を知っているのです。 だから、それ以外のことは、全て二の次でも構わないのです。 」
そして祝辞の最後、ジョブズ氏は未来ある若者たちに向けてこんなメッセージを贈りました。
「Stay hungry, Stay foolish.」 (貪欲であり続けろ、愚かであり続けろ)
旅立ちのはなむけとして 「Stay foolish」 のエールがどれほど学生たちの心に響いたか。 この場合のfoolishはstupidと違い、素朴なとか自分を飾らないといった意味合いが含まれていると思います。
後身に希望や勇気を与えるのは先を行く者の大きな使命であり、ジョブズ氏はアップルの社員にも力強い言葉で自社の未来を 語っていたのだろうと想像します。
言葉巧みだから相手を魅了できるのではありません。
人は、熱意や信念に裏打ちされた力強い言葉が描くビジョンにときめくのです。
片や、立川談志師匠が話術に長けていたのは当然のこと。
談志師匠はおそらく、生まれながらに 「しゃべり」 の才能があったのでしょう。
その 「(話)術」 を 「(話)芸」 の域まで磨き上げていったのは、落語によるところが大きかったのではないかと思います。
一人で高座にのぼり、長い時には1時間以上も話術だけで聴衆を惹きつけておかなければならない落語では、話のテンポやリズム、間の取り方、身振り手振りといった要素が重要になります。
落語家にはそれぞれ自分なりの 「テンポ・リズム・間」 があり、同じ演目でも演じる人によってずいぶんと趣が異なるのは当然のこと。
有名な大ネタの 「芝浜」 を立川談志・古今亭志ん朝・柳家小三治で聴き比べてみてください。
談志師匠は古典落語の名手ですが、談志ファンが愛したのは、立川談志独特のテンポとリズムと間による 「談志の芝浜」 という話芸でしょう。
極端なことを言えば、インタビューでも記者会見でも談志師匠にかかればすべてが話芸のようなものでした。
要するに肝心なのは、「何を話すか」 ではなく 「どう話すか」 だということです。
同じ話をしても大ウケする人とスベる人がいます。
人生訓を語って感心される人もいれば、やたらと説教じみてしまう人もいます。
その違いは話し方にあります。
話し上手になって人の心をつかみたいと思っている人のほとんどは、話の内容こそ最も大事だと考えているようですが、話術とは 「話し方」 です。
だからといってへたに話術のノウハウ本を読むくらいなら、有名なスピーチやうまい落語を観たり聴いたりしたほうがためになるというものでしょう。
実際に落語家を講師にした営業トークの研修もあるくらいです。
その人が使う言葉はある意味その人そのもの。
「何を」 「どう話すか」 で顧客のあなたに対する見方は変わります。
自分の 「しゃべり」 はどうなのかを知りたければ、気の合う飲み仲間あたりに一度聞いてみるといいかもしれません。
気を許した場所で自分が何をどう話しているか、これはけっこう参考になるだろうと思います。 |
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